親知らずなど、歯を抜歯した後にはかなりきつい口臭が起こる事があります。
抜歯するとなぜ臭いがでるのでしょうか?
口臭の原因とその対策についてみていきます。
抜歯した後はどうなっていく?
歯を抜いた後には、傷口がどのようにふさがっていくのでしょう。歯は骨に支えられて生えていて、抜くと出血を伴います。
まず歯が抜けてへこんでいる部分に血餅(けっぺい)と呼ばれる血の塊ができます。 ↓ 表面の組織が形成されていき、1ヶ月程で傷口が歯茎でおおわれます。 ↓ 2~3ヶ月辺りで抜けた後に骨が形成されます。 |
抜歯によって口臭が起こる理由は?
出血による血の臭い
抜歯をすることで出血しますが、抜歯の直後以降も血液の成分は口の中に存在します。まず血の臭いが口臭の原因となります。
それと血液の成分は、口臭を作り出す細菌が活動する為のエネルギーとなります。血が出ている状態は口臭を作りやすい状態となるのです。
食べカスの腐敗臭
抜歯後の傷口には、血だけではなく食べカスも溜まります。口の中の細菌はこれらを分解しエネルギーとして活動し、分解したものが腐敗して発生するガスが口臭となります。
膿の臭い
抜歯後の傷口は清潔にしにくい為、化膿してしまう場合があります。その際黄色い膿が出てきつい臭いが発生します。
先程書いたように、傷口が歯茎でおおわれるのは、抜歯後約1ヶ月かかります。
その間はこれらの出血、汚れ、膿などの為に口臭が起こる可能性は非常に高くなります。
抜歯後の口臭対策は?
歯磨き・うがい
まず口の中を清潔にする事が大事なのですが、問題があります。
それは歯磨きや過度のうがいによって、傷口のかさぶたである、血餅(けっぺい)がとれてしまう事があるからです。血餅がとれると当然治るまでの期間が長くなるのですが、それだけではありません。
膝を擦りむいた時のかさぶたは、はがしても皮膚が見えるだけ(それでも化膿したりしますが)ですが、血餅がはがれたその下は骨であり、細菌などからの刺激が直接伝わってしまうのです。
その為激しい痛みや感染症の恐れがあり、この症状をドライソケットといいます。
だからといって口の清掃を1ヶ月の間、全くしないわけにもいきません。傷口に溜まった食べカスからの臭いは適度なうがいでとれる分だけ、と割りきって、その変わり傷口に近い歯の清掃がおろそかにならないようにしましょう。
小さめの歯ブラシを利用するなど、傷口に注意しながらブラッシングしましょう。
唾液を出す
細菌が作り出すガスも血や膿の臭いも、口臭として出てくる場合は気体(ガス)としてです。口の中に唾液がしっかり分泌されていれば、唾液の中に溶けたまま飲み込まれますが、逆に口の中が渇いてしまえば、気体として出てくるのです。
その為口の中に口臭となる物質がある場合には、口の中が潤っている事が重要なのです。
また唾液の中には細菌に対して、抗菌作用をもつタンパク質や酵素が存在するので、その面でも唾液の分泌は大切です。
唾液をたくさん出すには水分をとる、食事をゆっくり噛む、舌の運動を行う等の方法があります。「口臭対策の為の唾液を出す運動」
臭いをごまかす
最後は発生する臭いをごまかす方法です。上で挙げたような対策もありますが、抜歯による口臭を完全に抑えるのは難しいです。
臭うのは傷口がふさがる1ヶ月程度の間なので、その間は臭ってしまう、という前提で気をつけるように意識しましょう。
ガムを噛む
香りの強いガムを噛む事で、マスキング効果(香水で体の臭いを覆い隠すなどの効果)を期待できます。
また噛む行為と味によって、唾液の分泌も増えます。ただし傷口の血餅が取れないように注意が必要です。気になるようなら、舐めるタイプのタブレットや飴でも効果は見込めます。
マスク
マスクをする事で、生地が間にはさまるので、確実に呼吸が届く距離は短くなります。完全には無理ですが、かなり効果は期待できます。
抜歯による口臭は傷口が治るまでの一時的なものです。あまり深く考えずにケアをしていきましょう。
逆に期間がたっても口臭が治まらない場合には、何か問題が起きているのかもしれません。すみやかに歯医者さんで相談しましょう。