口臭に関して、日本人は欧米の人と比べて口臭がきつい、といわれることがあります。
実際にはどうなのでしょう?
日本人の口は臭い?
日本人の印象からいうと、欧米人は日本人よりも体臭がきついと考えている人が多いと思います。
その為、口臭に関しても特に日本人の方が臭いと考えている人は少ないのではないでしょうか。
ところがアメリカ人などから、アジア人、そして日本人は口が臭いと思われているというのです。そして、実際にそれはある意味正しい部分もあります。
意識の違い
欧米人は文化としてハグやキスをする事でコミュニケーションをはかります。
その事が大きな要因だともいわれていますが、顔がかなり近付いた距離での口臭に関して、非常に敏感で、息が臭い事はマナー違反だと考えている人が日本人より多いようです。
その為オーラルケア(お口の手入れ)に自然と手間をかけるということです。
口臭のケアとして一番基本となるのは歯磨きですが、日本人が歯磨きにかける時間はどれ位でしょう。
歯磨きは1日3回、3分間と子供の時に教えられた人が多いと思います。ところが調査によりますが、3分以上かけている人は全体の半分以下、だいたい80秒から、アンケートによっては20秒という結果もある位です。
歯磨きは、口臭の元にもなる歯垢を取り除く事が一番の目的ですが、きっちりブラッシングする為には、約10分かかるといわれています。
数十秒では歯の表面をこすっただけで、きれいになる訳がありません。
歯垢は歯の間や、歯茎との間といった磨きにくい場所に溜まっていて、それらを取り除かないと口臭は無くなりません。
口臭は口の中の細菌が活動の結果作り出すガスであり、その活動は、歯垢の中で行われているからです。
歯垢は食べカスではなく、細菌の塊そのものなのです。
またオーラルケアに使用する道具も異なってきます。日本人では、歯ブラシのみを使用するという人が大半を占めますが、ある調査では、アメリカ人の7割以上がデンタルフロスなどの歯間を磨くグッズを使用していて、マウスウォッシュ(洗口液)を利用している人も6割を超えています。
(日本人では3~4割程度)
さらに口の臭いへの意識の高さから、ガムを噛む習慣もあり、日本のものよりも味のきつめのものを利用しているようです。
ガムは口の臭いを他の香りでごまかす目的もありますが、それよりも強い味と噛む事による口の運動で、唾液の分泌を促すのです。
唾液は口の中の汚れを洗い流す、口の細菌を殺菌するなどの効果を持っている、口臭対策には無くてはならないものなのです。
歯周病
日本人のオーラルケアの意識の低さが表れている点に、歯周病にかかっている人の多さが挙げられます。
日本人は、かかる前に予防する、という考え方をする人が少なく、かかってから歯医者さんに行って治療すればいい、という考え方をする人が多いからです。
しかし虫歯と違い歯周病は症状があまり表れにくいので、気が付いた時には抜歯するしかない、という状態になる事も多いのです。この病気に関しても予防する、という事が非常に重要なのです。
歯周病に対して、日本人は30歳以上の人の80%がかかっている、というデータがある位です。5人のうち4人が歯周病なのです。
欧米と比較しても高い数字となるでしょう。
歯周病は歯周病菌が口の中で活動し、歯垢を形成して歯茎に毒素を出すことで進行していきます。
歯周病菌が活動する事により作り出される、口臭の元となるガスはメチルメルカプタンという物質が多くなり、通常の口臭で発生するガスよりも臭いがきつくなります。
それに加え、毒素によって歯茎が腫れる事による出血や膿の臭いが混ざりとてもきつい口臭となります。
当然これらの話は、すべての欧米人、日本人に当てはまる話ではありませんが、平均的に欧米人に比べ日本人は予防歯科という事に関しての意識は低いと言えるでしょう。
特に日本人にとって、病気になったら治療ではなく、かかる前の予防に切り替えていく事が大切です。