膿栓(のうせん)って知ってますか?
くしゃみとかうがいをしてる時に、喉の奥の方からポロンと出てくる乳白色の小さな塊。
潰すととんでもなく臭いにおいがして、臭い玉(においだま、くさいだま)と呼ばれることも。
この膿栓は口臭の原因になる、ならないと意見が分れてるんですが、いったい何者なのか、膿栓ができる場所や口臭との関係、取り方などについてみていきます。
膿栓とは!
臭い玉とはなかなかのネーミングですが、数㎜から大きくなると1㎝を超えることもある白い塊、膿栓。
そもそも何なんでしょう。
人間の体には、外部からの侵入者に対して体を守ろうとする働きがあります。体内の免疫細胞が戦ってくれているのです。
実は膿栓とは、 外部から侵入してくる細菌などに対しての、体の免疫活動によって作られているものなのです。
膿栓の成分は細菌や細胞の死がい
ではその免疫活動によって作られる、臭いのきつい塊の成分はどんなものなんでしょう?
膿栓の主な成分としては、
|
などがあります。
外から侵入しようとした細菌と、それらを迎え撃つ白血球などの細胞が戦って倒れていった死がい、そして口の中の食べかす、さらにそこに集まってくる細菌などです。
膿栓ができる場所や原因はコレ!
膿栓ができる場所は扁桃腺
膿栓は喉の奥からポロッと出てきますが、実際にどこにできているのでしょう?
答えは、 喉の奥にある扁桃腺(へんとうせん)です。
よく風邪の時に、「腫れてますねぇー」と言われる場所です。
呼び方の話なんですが、扁桃腺は何かを分泌する器官ではないので、今では「腺」が外され「扁桃」と呼ばれます。
扁桃は喉の奥の「のどちんこ」と言われる部分のさらに奥の両側にある、コブのような器官です。
この扁桃の働きですが、口や鼻は体の外側と内側が直接繋がっている場所です。
そのため細菌やウイルスがここを通って侵入してこようするのですが、それらを通さないように喉の手前で戦ってくれるのが扁桃の役割です。
そして上に書いたような免疫活動の末、死んだ細菌やウイルス、白血球などが溜まって膿栓となります。
つまり膿栓は、扁桃で人間が体を守るために行っている活動が原因でできるのです。
膿栓のできやすい人、できにくい人とは?
扁桃で、細菌やウイルスと戦うと言いましたが、扁桃の表面には「陰窩(いんか)」というぶつぶつの窪みがあります。
扁桃に集まっているリンパ球が、この窪みの部分で細菌やウイルスを殺菌するのです。つまり細菌やウイルスなどの死骸(=膿栓)は、この陰窩(いんか)に溜まります。
この陰窩の大きさや深さ、数などは当然人によって異なり、窪みが深く角度も尖っている人は、膿栓が溜まりやすく取れにくいでしょうし、逆に浅く滑らかな人は、溜まりにくく、またうがいなどですぐに洗い流されるでしょう。
このように人によって、膿栓が出来やすい、出来にくいと分かれてきます。
ただ膿栓が出来るという事は、扁桃の免疫作用によるもので、適切に機能している証拠であって、病気ではありません。
そして免疫作用が働いている以上、誰にでも出来ます。
ただ単に溜まりやすいかどうかという事で、溜まりにくい人も膿栓が出来ていない訳ではなく、大きく溜まる前に体外に排出しているか、飲み込んでいるのです。
ちなみに… |
扁桃に炎症が起こる扁桃炎の時には、細菌が感染している状態なので、膿栓ができやすくなります。 |
膿栓のせいで口臭がおこるのか
この問いに関しては、歯医者さんなどでも意見の分かれるところで、膿栓が口臭の直接の原因ではないという人もいます。
膿栓は口臭の原因
私個人の意見としては、膿栓は口臭を起こす原因ではない、と断言するのは難しいと考えています。 膿栓の臭いを嗅いだことがある人なら分かると思いますが、あれだけの臭いのものが口の中にあって、全く臭わないという事が考えにくいから。
ニオイが出続けてる訳じゃない
ただし、あの臭いがずーっと発生している訳ではありません。
膿栓は出てきた状態では臭いを嗅いでもそこまできつくなく、潰した時に強烈に臭いのです。
細菌が死滅して、腐敗した臭いが重なっていってるのですから当然なのですが、口の中に存在しているだけでは(臭うんですが)、そこまできつい口臭にはならないんじゃないかと思うんです。
膿栓がさらに臭いを発生させる
ところがそれ以外に、膿栓があるために臭いが発生する、という可能性があります。
通常、口臭は口の中の細菌が食べカスなどを分解して腐敗したものが出すガスです。それは歯のすき間(歯垢の中)や、舌苔(舌の上にある白い苔状の汚れ)の中で作られていきます。
そして細菌は、他の細菌の死骸などもエネルギーとするため分解し腐敗していきます。
つまり 膿栓の周りで、細菌による分解・腐敗が進んで口臭となるガスが作られていく事が考えられるのです。
喉の奥から臭いがしてるように感じることはありませんか?
それはこの膿栓による臭いも関係しているのでは、と考えています。
膿栓の取り方は?
膿栓のベストな取り方(取れ方)は、くしゃみや咳で自然に出てくる、ということでしょう。
そうはいっても、咳やくしゃみを自在に操って膿栓を自由に取り出せる、という人に会ったことがありません。
道具を使ってとる
基本的には自分で取るのは止めておきましょう。
よく
|
などで取れるという意見を聞きますが、炎症を起こしたり傷や穴が大きくなって余計に膿栓が溜まりやすくなってしまう事もあります。
実際に綿棒などでやった事もありますが、扁桃に当たらずに取る、なんて事はできません。
(何度かやってみたんですが、怖くなってそれ以来やってません)
ましてや先の尖ったものでほじくるなんて、体を傷つけるだけです。 絶対にやめましょう。
お医者さんに行く
とにかく膿栓を取りたい!という人は、耳鼻咽喉科で膿栓の吸引、あるいは陰窩(いんか)の洗浄をしてもらう、という方法があります。
保険が適用されるので、費用も高額にはならないようです。
ただ 先ほども書いた様に膿栓が出来ること自体は病気で無い為、やってくれない所もあるようです。
また取り除いたとしても免疫活動の過程でできるものなので、再度できてしまう可能性があるのは承知しておきましょう。
うがい
自分で行う方法で安全なのは、やはりうがいでしょう。あるいは喉の奥の痰を出すように絞り出す、という方法。
うがいをするときには、口を「あー」、「おー」と繰り返すようにして下さい。「あー」の時にのどが広がり、奥の方までうがいできます。
またうがいの時に、マウスウォッシュを使うのも効果的かもしれません。
ただの匂いが付いただけのモノではまったく意味がありませんが、マウスウォッシュ、あるいはうがい薬には、殺菌成分が含まれるモノがあります。
膿栓の原因となる細菌を減らすのに役立つかもしれません。
あとは口腔洗浄機の水圧で流し取る、という方法も行っている人は多いようです。
「口腔洗浄器の効果は?」
個人的にはやった事がないんですが、コツをつかめば取れる、という人もいるようです。
膿栓の予防はこうしよう!
膿栓の対策は、できたものを取るというよりできない状況、できるとしても時間のかかる状況を作る事が大切です。
つまり予防。
その為には、口の中を清潔に保つ、という事に尽きるでしょう。
安全なのは、やっぱりうがい!
方法として一番簡単で、それでいて最も効果があるのは、上にも書きましたが、殺菌効果のあるうがい薬などによるうがいじゃないでしょうか。
口の中の細菌が死骸として溜まったものが膿栓なのですから、口の中の細菌が少ない状態を作るのが一番です。
他の臭いでごまかすマウスウォッシュ(洗口液)ではなく、殺菌効果のあるマウスウォッシュやうがい薬で、喉を中心に洗浄する事を意識しましょう。
個人的に使ってるのはプロフレッシュというマウスウォッシュですが(「プロフレッシュは口臭に効果ある?」)、他にもいろんなマウスウォッシュがあります。
「マウスウォッシュの効果は?いろんなのまとめてみました!」
口呼吸の改善
そして、あまり関係がなさそうに感じるかもしれませんが、口呼吸の改善が膿栓の発生に関わる場合も。
口呼吸とは、字のごとく口で呼吸することですが、膿栓を増やしてしまう可能性があります。
人間は通常鼻で息をしてますが、そうする事で鼻の中がフィルターのような役割を果たしています。
ところが口呼吸だと、 外から細菌などが直接体内に入ってこようとする量が増え、免疫活動の結果として膿栓が増える事も。
口呼吸は他にも口臭を増やす原因となるので、やってしまってる人は改善してみましょう。「口臭には口呼吸を改善しよう!」