口臭の原因は、その80%以上が口の中にあると言われていますが、その原因の1つに親知らずがあります。
なぜ親知らずがあると口が臭うのでしょうか?
ちゃんと生えない親知らずが、口臭の原因になる
親知らずは正式名称を第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)といい、臼歯の3番目に生えてくる歯の事です。
生えるのがだいたい20歳頃で親に知られる事が無い、という所から親知らずという名前がきているようです。
親知らずはまっすぐきれいに生えてくる事の方が少ない歯で、全体の8割位は斜めに生えていたり、まっすぐでも歯茎が歯の上や横に被さった状態で生えています。
これらが原因で親知らずから口臭が発生します。
ちゃんと磨けない
歯磨きというのは正確にきちんと行うのはなかなか難しいもので、ちゃんと生えている歯でも磨き残しができてしまうものです。
親知らずの場合、斜めに生えてくる事が多いので、他の歯と角度が異なる事によりどうしても通常より更に磨けない部分ができてしまいます。
口の中の細菌が食べカス等をエサとして分解し、それらが腐敗する時に発生する気体が口臭となるのですが、細菌はそれらを歯垢(プラーク)の中で作り出します。
歯垢は食べカスの塊と思っている人も多いかとおもいますが、実はほとんどが細菌の塊なのです。
つまり磨き残しは口臭を作り出す細菌の塊を放置する事になるのです。
そして親知らずはその生え方や角度、そして一番奥という場所の為、非常に磨きにくく歯垢が残り、口臭の発生源となりやすいのです。
歯茎が被さる
親知らずが生えてくる過程で歯茎が被さる事は多く、この被さった部分を歯肉弁といいます。歯茎が被さる事で口臭が発生する理由の1つは、やはり磨きにくく歯垢が溜まりやすい、という事です。
そしてもう1つは被さっている歯茎と歯の間に食べカスが溜まりやすいという事です。
その部分に食べカスが溜まると、同様に細菌がエネルギーにしようと集まって、歯垢を形成します。その中で増殖を繰り返すとともに口臭を作り続けます。
そして歯茎に対しては毒素を出してハレや炎症を引き起こし、そうなるとその中で膿ができ、その臭いも混ざってきつい口臭となるのです。
親知らずに重なった歯茎がブヨブヨしている場合、押すと膿が出てくる事があり、その状態では口臭が発生している可能性が高いと言えるでしょう。
親知らずによる口臭の対策は?
とにかく出来る限り歯垢を取り除く事です。その為歯ブラシはなるべく小回りのきく小さなヘッドのものにしましょう。
そしてそれと併用して、デンタルフロス(糸ようじ)やタフトブラシ(かなり小さい先が三角になったもの)を使用しましょう。 ここで一番大事な事は正しい方法で磨くという事です。
人それぞれ親知らずの角度や磨ける空間は異なるので、やはり歯のプロである歯医者さんの指導を受けるべきでしょう。
他の対策として、口の中の細菌を減少させるという観点から、洗口液(マウスウォッシュ)やうがい薬を利用するという方法もあります。
「口臭にマウスウォッシュは効果がある?」
ただしこれらだけでは効果は薄いです。
細菌の存在する歯垢は、バイオフィルムといわれるネバネバした膜で守られているため、液体が中まで届きません。
これらの液体が届くようにするためには、物理的にバイオフィルムを壊さなくてはならず、やはり歯磨きが重要となってきます。
歯磨きと併用する事で、うがい薬などの効果が表れるのです。
親知らずは抜歯すべき?
口臭の原因となりやすい親知らずは、いっそ抜歯した方が良いといわれる事も多いのですが、実際には人によって生え方もいろいろ違うので、やはり歯医者さんで相談すべきでしょう。
親知らずを抜いたほうが良い場合
|
親知らずを抜かなくても良い場合
|
親知らずを抜歯後の口臭
ちなみに親知らずの抜歯後には、傷がふさがるまでの1ヶ月程度口臭が発生します。
抜いた場所には食べカスなどが溜まってしまいますが、抜歯直後はドライソケットといって骨がむき出しになった状態となります。
そこをゴシゴシ磨くと血が固まらず、傷も治りません。その為磨き残しにより口臭が発生する事があります。
その口臭に関しては、その磨けない期間だけのものと割り切って、抜歯直後は特に、軽くうがいをする程度にしておきましょう。
「抜歯をすると口臭が起こる?」