口臭の原因!歯垢(しこう)とは?

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よく、虫歯や歯周病、口臭の予防には歯垢を取り除く事が必要、といわれますが、そもそも歯垢とは何なのでしょう?

口臭との関係などをみていきます。

歯垢とはいったいどんなもの?

歯垢とは、歯のすき間などに溜まっている、白い少しネバネバした塊をいいます。

歯の垢(あか)と書くぐらいなので、字をみれば歯につく汚れというのは、簡単に想像できると思います。

最近ではプラークと呼ばれる事も多い歯垢は、口の中の食べカスなどが溜まったもの、と勘違いされている場合が多いのですが、実はそのほとんどが口の中にいる細菌の塊なのです。

歯垢1㎎の中には、1億個以上の細菌がいるといわれています。

歯垢の成分は具体的には80%が水分で、残りの20%が有機物質、その中の約70%が細菌となっています。

歯垢はどのようにしてできる?

口の中には、数百種類の億を超える数の細菌がいるといわれます。

それらの細菌は、歯の表面に付着しても、唾液によって流されてしまい、1つの場所に留まる事はできません。

ところが口の中の、唾液が行き渡らない場所に付着すると、そこで増殖をしていきます。

そしてできた細菌の塊である歯垢は、バイオフイルムと呼ばれるネバネバした状態でこびりついていき、なかなか簡単には、はがれないようになるのです。

バイオフイルムとは?
口の中の細菌は増殖していく過程で、粘り気のある物質を作り出します。

そして、それらが絡み合い、膜のようになって固まった状態で存在しています。

シンクやお風呂の排水口などに付着しているネバネバしたものも、同じくバイオフィルムです。

歯垢があると口臭が発生するのはなぜ?

口臭が作られる原因から歯垢との関係をみていきます。

口臭が作られるメカニズム
口臭は臭いのきついガスですが、このガスは細菌の活動によって作られます。

細菌は増殖するためにエネルギーを必要とし、そのために口の中の食べカスやはがれ落ちた粘膜の細胞、血液の成分などのタンパク質を利用します。

それらを分解して腐敗させる時に発生する硫黄を含むガスが、口臭の元となります。

これを見ても分かるように、細菌の塊である歯垢が口の中に残っている事で、口臭のガスが作られてしまうのです。

また歯垢を放っておくと、さらに他の細菌がくっついてはがれにくくなるはかりでなく、唾液中のカルシウムなどによって石灰化し、歯石(しせき)となります。

こうなると歯磨きなどでは取れなくなり、歯石のざらざらした表面や段差に、さらに歯垢が溜まりやすくなってしまうのです。
「歯石は口臭の原因になる?」

歯周病の原因!

歯周病というと、口が臭う最も大きな要因となる病気ですが、この歯周病の発症や進行の原因となるのが歯垢なのです。

歯周病は歯周病菌による感染症で、歯垢が歯と歯茎の間にこびりつき、その中の歯周病菌が毒素を出して、歯茎を腫らす事で進行していきます。

歯周病の画像

その過程で、腫れた歯茎と歯の間にすき間ができ(歯周ポケット)、そこに細菌(=歯垢)が進んでいって、さらに悪化、最終的には歯を支えている骨まで溶かしてしまい、歯が抜けてしまうという病気です。

歯周病では同じく細菌が口臭のガスを作り出すのですが、歯周病でない人の口臭よりも、臭いのきつい成分(メチルメルカプタン)が多く含まれているのが特徴。

また進行するほど臭いはきつくなり、さらに歯茎から出てくる膿の臭いと混ざって、強い口臭となります。
「歯周病になると臭いがおこる原因は?」

歯垢を取り除くには?

歯垢はバイオフィルムという非常にネバネバした性質を持っていて、マウスウォッシュなどのうがいだけでは、はがれ落ちないので、物理的に器具で取り除かなければなりません。

歯ブラシ

まずは歯の清掃の基本、歯ブラシによる歯磨きです。正しいブラッシングの方法で、少なくとも1日に1回は、ゆっくり時間をかけて、丁寧に磨くようにしましょう。いい加減に1日3回磨くよりも効果がると言われています。
「口臭対策の基本、歯磨きの方法!」

デンタルフロス・歯間ブラシ

デンタルフロスは、簡単にいうと糸ようじです。柄がついたタイプと、糸だけのものがあります。歯の間に入れて歯垢を取り除きます。
「口臭対策に欠かせないデンタルフロス」

歯間ブラシとは、柄の先に針金がついていて、そこに毛が植えられ、その部分を歯のすき間に入れて磨きます。
「口臭対策に歯間ブラシを使用しよう!」

使い方など、詳しくはリンクを参考にしてもらえればと思いますが、これらを使うことで、歯垢の取れる量が変わってきます。

  • 歯ブラシのみ               →  61%
  • 歯ブラシ+フロス         →  79%
  • 歯ブラシ+歯間ブラシ   →  85%

歯医者さんでのケア

歯垢はいくらがんばっても、100%取り除くのは難しく、歯垢が歯石になってしまったものに関しては家ではまず取れません。

定期的にプロである歯医者さんで、クリーニングしてもらいましょう。

また口臭の原因となる歯周病は、自覚症状の少ない気付きにくい病気です。その点からも定期的な歯医者さんでのケアは効果的だといえます。