本当に歯石は口臭の原因になるのだろうか?

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よく歯医者さんで歯石を取ってもらいなさい、などと聞きますが、歯石がどの様なものか、ちゃんと知っていますか?

そもそも歯石とは何なのか、そして歯石と口臭の関係について見ていきます。

どうして歯石が付くのだろう?

歯石とは歯垢(プラーク)に唾液中のカルシウムが結合して固い石の様になったものです。

まず歯石の元になる歯垢(プラーク)についてですが、よく間違えている人がいるのですが、歯垢は食べカスの塊ではありません。

食べカスなどをエネルギーとして活動する細菌の塊で、歯垢の成分の90%を細菌が占めて、歯垢1mgに10億個の細菌が存在するといわれます。

歯垢と歯石の違いは、歯磨きで取れるかどうかです。

歯垢のうちはブラッシングをする事で除去は可能ですが、歯石になると歯ブラシでは取れません。つまり自分で取る事が出来なくなります。硬いもので自分で取ろうとする人がいますが、歯や歯ぐきを傷める事になるので、絶対に止めましょう。

歯垢は歯磨き後24時間経つと再び出来てしまい、歯石はそのまま放ったらかしにしていると、48時間で固まり歯石となってしまいます。

それでも最初のこの状態であればそれほど毒性も少なく、歯医者さんですぐに取る事が出来ます。

ところがこれを更に放っておくと、歯垢→歯石を繰り返し細菌の量も増え、毒性を増していきます。また歯茎の中へ伸びて行ってしまい、酸素を嫌う細菌が歯茎の中で更に増殖を繰り返すことになるのです。

歯石と口臭の関係は?

歯石は口臭の原因になるのか、という点ですがそれは間違いなくなります。

そこには間接的な要因があります。 

歯石がある事によって口臭の原因が増える

歯石自体は固まっているので、それ自体が強く臭う訳ではありません。

先ほども書いてますが、歯垢が歯石のせいで余計に溜まりやすくなる、という事です。

歯石が取れた時に臭うのは、そこに歯垢が付いているからと考えられます。

歯垢はバイオフィルムというネバネバした不溶性の物質で出来ていて、もともと粘着性があるので歯の表面等に付着しやすいのが、歯石による凹凸により更にくっつきやすく、剥がれにくくなります。

その結果ブラッシングでも落とせない歯垢の量が増え、口臭もきつくなります。

また歯石が歯茎の中に伸びて行く事で、歯周ポケット(歯と歯茎のすき間)が深くなり、歯ブラシが届きにくくなって、歯周病も進行してしまいます。

歯周病は口臭を発生させる大きな原因となる病気です。またその影響で歯茎から出血が見られ、これらも口臭となるのです。

この様に歯石が付く事で、様々な口臭の原因が発生しやすくなるのです。

歯石はどうしたら良い?

対策としては、出来る限り歯垢を取り除く、という事に尽きます。

  • まず正確な方法での歯磨き
  • デンタルフロス(糸ようじ)を使用しての除去

歯垢の除去率はブラッシングだけだと61%なのに対し、フロスの使用で79%まで上がります。歯間ブラシを利用すると、さらに上がります。

ただしここまでやっても、100%ではありません。全ての歯垢を取り除くのは無理です。そして残った歯垢のいくらかは、早ければ2日で歯石になります。

その為、3ヶ月~半年位に1回は歯医者さんに行って、クリーニングをしてもらいましょう。歯のプロである歯医者さんも、正しい方法できっちり磨いても、歯石は出来る、と言っていました。

スケーリングとは?

歯石はとても固く簡単には取れないので、歯医者さんでは、スケーラーという専用の器具を使用して、歯石をはがし取ります。

これをスケーリングというのですが、この歯垢や歯石を取り除くスケーリングが、歯周病の治療の基本となります。

このように取りきれない歯石は、歯医者さんで取ってもらうしかありません。

ただし歯医者さんだけに任せているだけでは、歯周病や口臭は改善しません。

歯磨きはやはり基本で、いい加減な方法で1日に何回もする位なら、きちんとした方法で1日1回行う方が効果があります。

歯磨きは、30歳以上の80%がかかっていると言われる歯周病の最も効果的な方法の1つなのです。