「歯周病のせいで口が臭い!」と悩んでる人は多いんじゃないでしょうか。
歯周病は口臭が発生する病気の中で最も大きな部分を占め、さらに臭いもきついです。
なぜ歯周病になるときつい口臭を発生させてしまうのか、歯周病による口臭の原因と対策についてみていきます。
歯周病とはどうやって起こる?
まず歯周病がどの様に発生していくのかを見ていきます。
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歯周病が臭いを引き起こすのはなんで?
ではこの過程の中で、どの様に臭いが作り出されるのでしょう。
細菌が作り出すガス
口臭は口の中の細菌が活動する為に、食べカスや剥がれ落ちた口の中の粘膜、細菌の死骸などのタンパク質を分解し、腐敗させる時に発生するガスです。
つまり細菌が増殖する為に活動する事によって産み出される気体なのです。
口臭として発生するガスの主な成分は、揮発性(気体になりやすい性質)の硫黄化合物である、
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の3種類です。
口臭には何かの病気にかかっていなくても誰にでも発生する、生理的口臭というものがあります(朝の口が臭うのもこれです)が、その時の口臭の成分は硫化水素がほとんどで、卵が腐った様な臭いがします。
健康な人の口の中で発生するガスのほとんどはこれです。
歯周病ならではのガス
ところが歯周病の人の口の中を調べると、 メチルメルカプタンの割合が高くなってきます。
メチルメルカプタンは腐った魚の臭いと形容される事が多く、臭いのきつさ自体、硫化水素よりも強いものとなります。
また臭いの発生元ですが、生理的口臭は細菌が舌の表面の舌苔(ぜったい)と呼ばれる白っぽい汚れの中で大半を作り出します。
残りは歯のすき間など。
歯垢が問題!
これが歯周病になると、舌苔の上でも作られますが、それ以外に歯周ポケットの中でも細菌が増え続け、臭いを作り続けているのです。
そんな細菌の塊が歯垢(しこう)なんです!
(食べかすではありません)
舌の上は唾液などである程度洗い流されるのですが、歯周ポケットの中は深くなるとブラシが届かなくなり、臭いの発生元を無くす事ができなくなります。
つまり、歯周病が進めば進むほど、歯周ポケットも深くなり、発生する口臭が増えて臭いがどんどんきつくなっていくのです。
歯周病の進行による膿の臭い
歯周病が進んでくると、歯周ポケットの間に膿が溜まってきます。
これは歯周ポケットがどんどん深くなっていき、細菌が活動して骨を溶かしていくのを防ぐため、体側の抵抗力として白血球が細菌と戦います。
そしてその白血球の死骸が膿なのです。
膿は溜まったまま
歯周ポケットの中に存在している膿は、流動性が無くそこに留まったままなので、その守られた場所で生きている細菌は増殖していき腐敗して臭いを発し続ける事になります。
こちらも歯周病が進行すればするほど取り除けなくなり、臭いがきつくなっていきます。
歯周病は放っておいて改善する事は一切無く、悪くなる一方です。
歯医者さんでの治療を行いましょう。
歯周病が進行する原因は?
歯磨きが正しく出来ていない
歯周病の始まりは、歯垢の付着から始まります。
特に寝る前の正しいブラッシングで、出来る限り食べカス、歯垢を除去することが大切です。
歯ぎしりをする、噛み合わせが悪い
直接の歯周病の原因となる訳ではありませんが、一部の歯に不自然に強い力がかかる事は歯周病を悪化させることになります。
喫煙
煙草を吸う事で、3~8倍、歯周病にかかりやすくなると言われています。
煙草の有害物質が、粘膜や歯ぐきから吸収されてしまい、歯周病にかかりやすく、ひどくなりやすく、治療でも治りにくくなります。
緊張やストレス
緊張やストレスが溜まった状態が続くと、免疫力が低下して歯周病にかかりやすくなります。
また自律神経のバランスが悪くなり唾液も減って、より口臭が発生しやすい環境に。
よく噛まないで食べる
食事中の口の動きが少なくなり、唾液の分泌が少なくなります。
唾液には口の中を自浄する作用(細菌などを洗い流すなどの、口の中を清潔に保つ作用)があり、働かなくなることで、細菌、歯垢がたまりやすくなります。
口臭の発生が、さらに歯周病を悪化させる?
また口臭の時に発生するガスのうち、硫化水素よりも毒性が強く、歯周病で多く作られるメチルメルカプタンは、体の組織にも影響を与えてしまう事が分かっています。
そしてその気体が作られることで、余計に歯周病が進行していくというのです。
歯茎に与える影響
メチルメルカプタンは、歯茎の表面の粘膜細胞の、増殖や成長を抑えてしまうという報告があります。
さらに、その奥の組織にも影響を与えて、増殖を止める事はないものの、メチルメルカプタンによって、コラーゲンなどの、歯茎を作っているタンパク質を合成するのを邪魔してしまう、という報告もあるのです。
また歯周病によって出血や炎症を起こしている歯茎は、メチルメルカプタンによって治るのも遅くなっているともいわれています。
歯周病による口臭の対策
歯周病が口臭を起こすのは明らかで、どの歯医者さんも認めている事です。では歯周病による口臭の対策はどうしたらいいんでしょう?
歯磨き
「はぁっ?」と思うかもしれませんが、やっぱりコレしかないんです。
歯周病による口臭は、口の中の歯周病が作り出すガス。
歯周病を治すのが大前提なんですが、口臭の対策をするには細菌=歯垢を取り除くのが必須です。
そのためには、やっぱり歯磨き。しかも正しい方法でしっかり歯垢を取り除くことです。
デンタルフロス
いわゆる糸ようじですが、歯ブラシによる歯磨きの時に一緒に使用する事で、歯垢の除去できる量が増えます。
「口臭対策に欠かせないデンタルフロス」
歯間ブラシ
デンタルフロス同様に、歯ブラシと一緒に使うと効果のあるアイテムで、歯のすき間に入っていく細ーいブラシ。
(私の場合は歯周病で歯が抜けてブリッジ(橋渡しみたいにする治療法)をしてるので、その下の部分が磨きにくく使ってます)
「口臭対策には、歯間ブラシを使おう!」
どちらにしても正しい方法で磨く、というのが大切。一度歯医者さんで指導してもらいましょう。
大人でも間違った磨き方をしてる人は多いので。
ここからはあくまで歯磨きの補助的な感じになりますが、効果が期待できるかもしれません。
マウスウォッシュ
マウスウォッシュにはいろんなタイプがありますが、必ず殺菌成分の入ったものを使いましょう。香りでごまかすだけのタイプは、まったく役に立たないんで。
またうがいだけで歯垢をはがし取る、というのは無理な話で、必ず歯磨きと併用しましょう。
「マウスウォッシュの効果は?いろんなのまとめてみました!」
サプリメント
口臭サプリメントというグッズはありますが、基本的には歯周病には何の効果もないものがほとんど。
飲み込んでしまうので当たり前ですが。
ただ、中には口の中で噛んだり舐めたりして使うチュアブルタイプと呼ばれるものがあり、乳酸菌などの歯周病菌に対しての殺菌作用があるとされる成分を含むモノには効果が期待されています。
「口臭サプリの効果ってどう?いろんなサプリメント集めてみました!」
食べ物や食べ方による対策
歯周病の予防や進行を抑える為に効果が見込まれる食べ物があるので、それらを積極的に取り入れる事もおすすめです。
ビタミンC
歯周病は細菌の毒素によって歯茎の組織が壊されます。歯茎はコラーゲンの繊維でできているのですが、ビタミンCにはコラーゲンの合成を促進する効果があるといわれているのです。その結果毛細血管なども修復されて、出血を抑える事に繋がります。
ビタミンCを多く含む食品
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など。
ビタミンPが含まれる食品(蕎麦やオレンジ、さくらんぼ)と一緒にとると、ビタミンCが働くための助けとなります。
ビタミンK
歯周病は歯茎に炎症を起こして、出血する事もあります。ビタミンKは血液を固める成分を合成する事に関わっていて、歯茎の出血には効果があります。
ビタミンKを含む食品
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など。
ビタミンE
人間は呼吸をする過程で活性酸素という非常に酸化力の強い酸素を生成します。この活性酸素が増えすぎると、その強い酸化力で細胞を破壊してしまいます。
そしてこれが歯周病を悪化させる原因とも言われています。
ビタミンEは、この活性酸素の働きを抑えるといわれています。
この時、ビタミンEは酸化されるのですが、一緒にビタミンCをとっていると、ビタミンEを元に戻して、また働いてくれるので、一緒に取るのが効果的です。
ビタミンEを含む食品
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など。
歯周病を防ぐための食べ方
そのまま口臭対策にも繋がりますが、歯周病予防に効果のある食べ方も意識しましょう。
しっかり噛む
よく噛む事で、食事中の口の中には大量の唾液が分泌されます。
唾液は口の中の汚れを洗い流したり、また歯周病菌などの細菌の増殖を抑えるのに役立ちます。
同様の理由から、噛みごたえのある食べ物、食物繊維を含む食べ物を積極的に取り入れましょう。
ガムを噛む
最近は糖分を含まないガムが多く発売されています。
ガムを噛む事でも唾液の分泌を促します。食事と食事の間などの唾液の分泌が不足するような時間帯には、歯周病対策、口臭対策の両面から有効です。
自覚症状が少なく気づきにくい病気なので、歯周病ではないと思っている人も定期的に歯の診断、クリーニングを行いましょう。