口臭の原因には色々ありますが、口臭の原因が病気の場合、その80%は口の中にあるといわれています。
と言うことは、逆に後の20%はそれ以外という事です。そして最近よく耳にする逆流性食道炎という病気も、口臭の原因になります。
逆流性食道炎とは?
食道とは、胃と喉をつないでいる、長さ25~30㎝、太さ2~3㎝の筋肉の管です。食べた物を胃まで運ぶための場所で、消化活動は行われていません。
逆流性食道炎とは、胃の中の胃酸や残っている物が、何らかの原因で逆流して食道に留まり、食道の粘膜が胃酸で溶かされて炎症が起こる症状です。
逆流性食道炎が食道がんにつながる事もまれにあるようです。
通常食べたものや胃酸などは、逆流する事はありません。食後すぐに逆立ちしても大丈夫です。
食道には下部食道括約筋という筋肉が、胃と食道のつなぎ目(噴門部) 辺りにあり、食べ物を飲み込んでいる時は緩み、それ以外は締めて逆流が起きないようにしています。
また食道の筋肉は、上から下に締め付けたり緩めたりを順に繰り返す、ぜんどう運動という動きをして口から胃の方に食べ物を運んでいるからです。
そのため食べた物の臭いがすぐに胃から上がってくる事も無いのですが、その筋肉が弱まったり、胃酸過多になるなどにより、逆流が起こってしまいます。
(胃酸過多とは胃酸の分泌量が増えて、濃度が高くなった状態をいいます。)
逆流性食道炎と口臭の関係は?
逆流性食道炎が原因で起こる口臭とは?
胃酸の臭い
胃の中には、食べ物を消化するために胃酸と呼ばれる強い酸性の液体がありますが。
逆流性食道炎になることで、呑酸(どんさん)と呼ばれる、すっぱいツンとした液体が喉まで上がってくる症状が起こります。このときの刺激臭が口臭の原因となります。
胃の内容物の臭い
胃の中身や臭いは、食道の筋肉などによって、口の中に戻ってくることはないといいましたが、逆流性食道炎ではそこを逆流して戻ってきます。
そのため胃の中身の臭いが直接口から臭ってきます。
逆流性食道炎の起こる原因は?
タンパク質や油の多い食事
肉や油っこい食事ばかりしていると、消化を進めるため胃酸の量が増え、胃酸過多となります。そうすると胃酸が逆流しやすくなってしまいます。
食べ過ぎ
大量の食べ物が胃に入り、胃が伸びるため下部食道括約筋が緩みやすくなります。
また胃が消化を行う為に胃酸の分泌も増えて、逆流してしまいます。
加齢
年齢を重ねると筋力の低下がおこります。
下部食道括約筋をはじめ、胃酸や胃の内容物を逆流させないようにしておく筋肉も弱くなり、逆流性食道炎の原因の1つとなります。
早食い
あまり噛まずに飲み込むなどの食事方法は、口の中での唾液による消化活動が不十分となり、胃の消化の為の負担が大きくなります。
その為、胃酸が過剰に分泌されます。
姿勢が悪い
背中が曲がった状態では、胃を圧迫する事になり、胃の内容物を逆流させる要因となる事があります。
タバコを吸う
喫煙すると、噴門部にある逆流を防ぐ筋肉の力が低下するといわれています。
タバコを吸う人は、吸い過ぎた時に胸焼けを感じた事がある人もいると思います。
元々日本人にはこの逆流性食道炎は少ないと考えられていました。それは日本人は、欧米人と比べ、胃酸の分泌量が少なかったからです。
ところが生活様式、食生活の変化に伴い、この病気も増えてきていると言われています。
年齢に関しても以前は筋力の落ちる高齢の人に多かったのですが、最近では若い人の患者さんも増えているとの事です。
理由としては、やはり油っこい食べ物を食べる機会が増えている事が挙げられます
逆流性食道炎による口臭の対策は?
加齢による下部食道括約筋の筋力低下に関しては、なかなか対策のしようが難しいです。ただし、その他の原因に関しては対策の打ちようもあります。
一番大切なのは、食生活の見直しを考える事です。当然食べ過ぎには注意をし、片寄ったバランスの悪い食事、偏食も避けましょう。
大根おろし、納豆、みそ
これらの食材には消化酵素が含まれ、胃が消化しようと過剰に分泌してしまう胃酸を抑える効果があります。
喫煙、アルコールを控える
タバコ、お酒の飲み過ぎやコーヒーのとり過ぎも胃酸の分泌が増え、胃酸過多の原因となるので注意が必要です。
ストレス解消
緊張やストレスを溜めこむ事は、胃酸過多につながります。睡眠や入浴、軽い運動などでストレス解消に努めましょう。
逆流性食道炎の症状は、胸焼けや胃もたれ等です。
その為油断してしまいがちですが、進行してしまうと危険な病気です。違和感を感じた場合は、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。