口臭の原因には色々とありますが、その1つに膿(うみ)があります。
膿が出る原因や場所、口臭との関係とそれらの対策について考えていきます。
いったい膿とは何なのか?
体に傷ができたり炎症が起こると、そこから細菌やウイルスが入ってきて増殖しようとします。
そのまま放っておくと体に悪い影響が出てくるので、対抗するために血液中の白血球が出てきて細菌やウイルスと戦い体を守ろうとします。そしてその戦った後のお互いの死骸が膿なのです。
膿の成分としては、白血球や細菌の死骸以外にも細胞の崩壊した組織や、生きた細菌があります。
膿が臭って口臭となる理由は?
膿は白血球と細菌が戦った残骸ですが、その中には生きた細菌も存在します。そして死骸などをエネルギーとして増殖します。
またそこに白血球が出てきて、という事を繰り返しているのです。
これが1つの場所で長い時間をかけて行われていると、細菌は活動していく中で、タンパク質を腐敗させる事で臭いの成分を作ってしまい、膿のできる場所、(口に近い、あるいは呼気が通る所など)によっては口臭として出てきてしまいます。
膿による口臭が発生する症状とは?
歯周病
歯周病にかかると、歯茎が腫れて歯との間にすき間ができます。これを歯周ポケットといい、その中で細菌が固まって歯垢(プラーク)を作り、さらに毒素を出して炎症を起こします。
この時に歯周ポケットの中では細菌と白血球が戦い、残骸として膿が溜まるのです。
歯周ポケットが進行して深くなると、歯ブラシでは届かなくなり、膿が溜まり続けてその臭いが口臭となります。
歯周病は膿の臭い以外にも出血した血の臭い、歯周病菌が作り出す臭いのガスもあり、病気によって起こる口臭の一番の原因となっています。
歯周病の対策は、正しい方法でのブラッシングと、歯医者さんでの歯周ポケット内の清掃、歯石の除去が必要です。一度検査も兼ねて歯医者さんで診てもらいましょう。
→「口臭の原因、歯周病とは?」
後鼻漏(こうびろう)
通常、鼻水は鼻の穴から外に出てきますが、アレルギー性鼻炎などで大量に鼻水が作られた場合に、喉の方に流れてしまう事があります。
これを後鼻漏といいます。
後鼻漏になると鼻水がネバネバとした粘性を持つのでへばりつきやすくなります。また鼻の炎症から起こるため、細菌により膿を含んだ状態になります(膿性鼻漏)。
こちらもへばりついている状態が長く続くと、臭いを感じるようになり、口臭として発せられる可能性もあります。
対策としては、膿を含んだ鼻漏(鼻水)に関しては、耳鼻咽喉科で薬を処方してもらう事で改善が見られますが、後鼻漏自体は、鼻炎が原因となっているので、慢性鼻炎などを患っていると、完治は大変になります。
初期の鼻炎の時に、きっちりと対処する事が重要です。
→「口臭の原因となる後鼻漏とは?」
痰による口臭
喉に絡み付く痰も膿を含んで臭いを発する事があります。
そもそも痰とは気道の中に異物が過剰に入ってきた時、あるいは炎症などによって膿が出た時にそれらをからめて排出するために出てくる、気道液という粘り気のある液体です。
つまり通常の痰であれば、それ程臭う事も少ないと思うのですが、喉の炎症などで膿が出てきて形成された痰に関しては、臭いが口から出てくる事があります。
その時の痰は黄色と緑色が混ざったような色をしています。
対策としては、あまりきつい咳をしないように、喉を湿らすなどして、痰を出すように心掛けましょう。きつく咳をする事は、喉を傷つけて逆効果になる事があります。
→「痰(たん)と口臭の関係」
膿栓(のうせん)による口臭
膿栓というものを知っていますか?咳などをした時にポロっと出てくる白い塊で、潰すと強烈な臭いを発します。
膿というと膿汁(のうじゅう)という液体を含んでいるものですが、成分としては、この膿栓は膿とほとんど変わりません。
膿栓の正体は、扁桃腺で細菌と白血球が戦い、溜まった残骸なのです。
この膿栓は、それ自体が臭う場合があり、さらにそこに細菌が溜まって臭いを作り出す事で、口臭の原因となると言われています。
対策としては、直接とるのは扁桃腺に良くないので、うがいなどで口の中を清潔にする事が大切です。
→「膿栓(のうせん)の取り方は?」